中国の伸びしろ

eyes of the World 8.雑記

投資先としての中国に、伸びしろはあるのだろうか?

ネットで拾える情報を見た限りでは、私は
「短期間ではあり。しかし長期間では要精査」
と見る。

投資案件などを見ていると、年間15倍の利益をうたう案件、株式だけで年利10%以上の投資先などがヒットする。
直近の成長率が、コロナ禍にもかかわらず2.3%、来年以降の成長率が8.3~4%、という中国発の数字だけを見るならば、不思議には映らないかも知れない。

ただ。中国が現在、世界から不信感をもたれているその一番の原因として、
「国家が発表する情報……統計に限らず、およそ全ての情報……が、信用ならない」
ということがある。
たとえばコロナ禍。中国は都市封鎖をいち早く実施し、コロナの押さえ込みに成功した……ことになっている。
しかし、シノバックやシノファームのワクチンが変異株にまったく奏功しない、というか効いてないところを見ると、中国はコロナ押さえ込みをロックダウンだけで実施したことになる。
だが、アタリマエのことだが、ロックダウンなんて行為を長期で実施すれば、普通は経済は低迷するものである。

「それが低迷しないから、中国はすごいんだよ!」

……まぁ、そういうことにしておきましょ。

ちなみに。
年間15倍、という投資利益をえることが、成長率8%前後の国で起こりえるのか、と言えば。
経済規模が似ており、先進国代表であるアメリカで、今期経済成長率は2.2%。このアメリカ企業のうち、「破壊的イノベーション」と謳われるような先進企業だけに投資するというETF、”ARKK”の、1年間の(理想)リターンが、およそ490%(つまり、およそ5倍)前後。
なので、中国ほどの経済規模で、かつ成長率8%を維持できるならば、たしかに年間15倍のリターンをえることも可能なのではないか、と言える。

しかし、そのARKK、2021年以降は振るわない。注目され始めた2020年初頭から2021年初頭までに、リターンを3倍まで殖やしたにもかかわらず、以降はじりじりと下げ、現在は-23%の116$となっている。

中国にアメリカの公式がそのまま使えるか、というと答えは “No” だ。中国はアメリカにはない「統計の信頼性が皆無」というリスクが存在するため、むしろアメリカより悪い結果になる、と予想できる。
中国の香港や深圳等の市場が、暴落を繰り返したとき、「中国は終わりだ」となんども吐き捨てられながらも一応の体裁は整えつつ復調しているのは、中国という国の底力などでは断じてなく、もはやそこにしか中国という国家を支える生命線が存在しないからだ。

中国は固定相場制(通貨バスケット制)を取っているため、通貨的には安定している(ように見える)。ただ、固定相場制を維持するために、自国通貨安に傾いた時は、相手通貨(通常は国債で保管)を売り浴びせる必要がある。
つまり、前提として、相手通貨を所有してなければ通貨を固定させることができない、ということでもある。

近年、中国はアメリカの国債保有残高1位の座から滑り落ちた。
それがどういうことか。上記のようなことに原因があった、と考えるのは、妥当な線ではないだろうか?

ただ。それでも。
中国という国家のどうしようもなさとはまったく別の世界線で、中国上位の先進企業の優秀さもまた推して量られるべし、とも考える。
国破れて山河あり、というわけではないが、中国という国と中国企業とは、必ずしも一枚岩ではなく、むしろ中国という軛を逃れて自由経済の世界に羽ばたけたら、かなり善戦するような企業がひしめいている。
これら企業に投資をするというのであれば、年間15倍などという与太は置いといて、十分なリターンを得られる可能性はなくもない。
ただそれにしたって、「中国」という「国」のシステムが根幹から修正され、きちんとした統計が出るようになり、かつ、その企業の「本来の」価値が再計算されて適正株価となってから、だ。

投資判断に必要なものは、以下の3つである。

・将来性
・将来性
・将来性

今現在の状況から、将来どうなるかを予測してプラスを算出する。
当然前提となるルールは日々刻々変わる。
そのルールが、投資先にプラスならば買い、マイナスならば売る。
中国という「国家」に現在、将来性においてプラスとなる材料は、見当たらない。

結論として、冒頭に書いた通りとなる。

「短期間ではあり(嘘なら嘘なりの統計で経済は推移するので)。しかし長期間では要精査(実際価値を判定された後で)」

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