投資実践者と非実践者の認識の違い ~不動産投資~

Sebastian WagnerによるPixabayからの画像 4.投資

今回は、自分の無知を正直に告白する記事となる。

私の現在のアセットアロケーション(投資資産の種類別分類)は、国内株式、国外株式、投資信託が全てである。つまり、株式100%。
これは、投資家としては「リスク資産を取り過ぎている」状態である。
山崎元先生の言を借りるなら、「投資、とくに長期投資は、アセットアロケーションが全て」であり、もしこの状態のまま長期投資期間を過ごすなら、私の資産は目減りしている可能性すらある。
通常は、国債や、REITなどの不動産等に資産を分類して所有するものなのだ。
ただ、私の現在の資産総額は、「投資家」と呼ぶにはお話にならないほど少ない。ので、リスク資産を目一杯持って突っ走らないと夢に到達できない状態のため、このようないびつなアセットアロケーションとなっている。

が、もう一つ理由がある。
私が不動産投資に舵を切らなかった理由は、単に「不動産投資」というものそのものに重大な認識違い、誤謬があったからだ。

皆さんは「不動産投資」と聞いて、何を想像されるだろうか。
不動産投資実践者の方ならば、そろそろ私が何を言いたいのか、ピンときてらっしゃるはず。
そう。私はつい最近まで、「不動産投資」=「土地転がし」だと思っていたのだ。
私は青年期にバブルを経験している。伊丹十三監督の「マルサの女2」に代表されるような「バブル期の不動産所有」の感覚が残ったまま、情報を更新していなかったため、

「不動産投資」=「株式投資」……「資産(土地)を所有しただけでその値上がり益を期待する」投資

だと認識違いを起こしたままだったのだ。
昨日、「マイナス成長下での国の企業へ投資しても無駄だ」という人たちをあれだけディスっておきながら、当の自分が同じような認識でいたわけである。これは不勉強のそしりを受けてもしかたがない。

当然のことながら。
マイナス成長下でも、不動産投資は充分に魅力的なリターンを得られる方法があった。
というより、現在の日本における「不動産投資」は、ほぼ以下のような意味となる。つまり。

「不動産投資」=「大家さん」

なのだ。

恥ずかしながら、なぜこの認識違いに気がついたかというと、投資関連の情報収集のついでに目に入ってくる、不動産投資に関する経験談や紹介記事、ニュースなどを読んでいるうち、そのどれもが「大家さん業」について書かれていたことに、遅まきながら気がついたためだ。

「大家さん業」とざっくり説明したが、大家さん業とはつまり、

・土地に、一戸建てやアパート、マンションを建てる。
・あるいは、マンションの一室やビルの空きテナントなどを購入する。
・そして、入居者を募り、家賃収入を得る。

これら一連の業務を指す。

株式投資家の感覚で、大家さん業を営むのは「企業」の役割であり、投資家は「土地所有をするのみ」という、まぁ言ってみればかなり「怠惰な」発想をしていたわけだ。これまでは。

当然のことながら、デフレ下かつマイナス成長下では、ただの更地は経済効果を生まない。都市部の駅近ならともかく、田舎の更地は右肩下がりだろうし、更地のまま放置された土地が増えれば、それはすなわちその地域の地価をさらに押し下げるだろう。更地を所有しただけでは利益は期待できようはずもない。

しかしそこに、自分の力で「上物」を建て、入居者を募り、家賃収入を得ることが出来れば、そこはただの土地ではなく、経済効果を生む「金の卵」となるわけだ。
そもそも不動産投資の代表格である “REIT” そのものが、家賃収入を得ることを最終目標として設定されている。
普段REIT、REITと知ったように口にしてはいたが、ちょっとその内容を突っ込んで調べれば得られていた情報に目を通さなかったというのは正直、恥ずかしい話だ。

そしてこれは、デフレ下、マイナス成長下でも、不動産資産で儲けることができる――自分が資産に対して十分な手を入れることで、新しい価値を創造でき、かつ利益を手にすることができる、という証明でもある。
マイナス成長下の国家での投資が無駄だ、と一刀両断に切り捨てていては到達できない境地だ。
ただ、今のような時期に不動産投資をされている方たちは、皆一様に働き者であるという印象を受けた。多くのテナントや一戸建て、アパート、マンションを所有し、その一つ一つについて自分が管理をし(不動産業者に丸投げするのがこれまでの不動産投資家のスタンダードだったらしいけれど、そうするとかなりの利益を業者に吸われることとなるため、自分で管理をする、ということらしい)、たとえば自家用車で空き室の畳を運び入れ、入れ替え。たとえば二束三文の一戸建てを修繕にかけ、売り出しを行い、たとえばアパートの修繕に業者とのわたりをつけ、所有する資産が価値を生むように努力を重ねておられる。

だから現在の不動産投資は、働き者でなければ到底できない芸当である、とも言える。
結局、自分にはできないなぁ、という結論。

不心得者のそしりを受けても、しかたがない。

タイトルとURLをコピーしました