創業コンセプトを考える

Gerd AltmannによるPixabayからの画像 1.創業計画

お店を出したい。
自分好みの、毎日でも通いたくなるような、落ち着いた雰囲気の店を出したい。
飲食店を創業される夢を持った起業家さんなら、誰もが一度は夢見たことがあると思います。
私もあります。

その夢は、いったいどうやったら実現できるのでしょうか?
自分がこんなに欲している店なのだから、多くの人が同じ気持ちだろう。
そう思って立ち上げた店に、意外とお客が入らないで、消えて行く。
どうしてこのようなことが起きるのでしょうか?

それは、実ははっきりとした理由があるのです。
「夢」という、「ことば」に、惑わされているからです。
野球選手になりたい。サッカー選手になりたい。学校の先生になりたい。
こういうのも「夢」です。
しかし、これら「夢」と、「自分が理想とする飲食店を築き上げたい」という「夢」とは、はっきり別ものだと悟るべきです。
野球選手やサッカー選手や先生は、自らの努力いかんでいくらでも道は拓けます。本当になれるかどうかはともかく、必要なのは自分の意志と、課題をやり抜く力量だけです。
ですが……飲食店は違います。

「相手」が必要なのです。

飲食店に限っては、「相手に見つけてもらい、相手に入ってきてもらい、相手に気に入ってもらわなければ」経営が成立しません。
ならば、コンセプトとして向き合うべきは、じつは自分の気持ちではないのです。

考えるべきは、究極的には、
「どうやったら相手に『刺さる』か」
それだけです。

飲食業の創業コンセプトは、「自分の夢」を主軸に据えて考えるのではなく。
「どこの誰をターゲットに刈り取るのか」を主軸に据えて考えるべきです。

まとめ
まとめ

お客側の立場から、創業コンセプトは練るべきなのね

「原宿に、西洋風のウッディーな雰囲気で、静かなバロックが流れるカフェバーを作りたい」
というのはだから、コンセプトとは言いません。
「原宿に集まるのは『今』どんな層の男(女)で、どんなものが好きで、どんな空間を求めてくるのだろうか?」
と考えたとき、コンセプトのヒントが浮かびます。

このようにして、創業コンセプトは練っていきましょう。

【コンセプトは『街』からもらう】

試しに、街を歩いてみましょう。そして、その一角に自分の店が開くことを想像してみましょう。
実は、街は街そのものに「コンセプト」を持っています。
東京を例にとりましょう。
神田。
新宿。
秋葉原。
渋谷。
巣鴨。
東京というのは人口が多いだけあって、街というか、駅名とそのエリアそのものが、コンセプトの集積体のような場所です。
神田……サラリーマンの安飲み屋街。または古本街。
新宿……歌舞伎町と都庁前。小田急と京王。東口と西口。大きな個性がぶつかる街。
秋葉原……電気街は今は昔。今はオタク産業……も、斜陽ですか?
渋谷……若者の街。かつては銀座赤坂と並ぶ、大人の街だった(というのも東急が作ったコンセプトだったり)
巣鴨……おばーちゃんの原宿。

他にも、環七……ラーメン激戦区、吉祥寺……住みたい街No.1、お茶の水……親不孝通り、など。
東京に限らず、繁華街にはその繁華街にそぐうお店の色があります。
その色に染まることで、流れに任せてお客を呼ぶのか。
あるいはその色に反して、目立つことでお客を呼ぶか。
この辺は、起業家さんの力量かと。

【欲しいものを売るのが「店」】

飲食店を探すお客さんには、二種類あります。
「とにかく、なんとなくいいなーと思えるところに行く」という、流れにまかせるタイプ。
「カツ丼!」「カツカレー!」「ラーメン!」と、食べたいものを強固に決めて飲食店を探すタイプ。
前者のお客さんには、とにかくそれなりに安くていいものを出せばそれなりに満足してもらえるでしょう。しかし、後者のお客さんに、いくら「当店こだわりの創作料理」を提供しても、「カツ丼ねぇのかよ」とがっかりされるだけです。

そこを歩いているお客さんがどんなものを食べたがっているのか、分かって売ることが出来るのがいちばんいいのです。好例を挙げるなら、神田古本街のカレー屋乱立でしょう。
なぜ古本屋にカレー屋が乱立したか。それは、古本を漁って満足した読書家が、本を眺めながらスプーン一本で片手で食えるものを欲した結果だということです。一点に着目すれば、意外な答えが見えてくるものです。

【街のコンセプトを、「自分のコンセプト」へと練り上げる】

流行に乗るのは簡単です。人真似は確実にある一定までは受けますが、その人以上にはなれません。
なので、街のコンセプトが分かったら、それにそのまま染まり乗っかるのではなく、「自分自身のコンセプト」へと落とし込まないと、「流行る店」にはなり得ません。
その街で、何が需要があり、何が人気なのか、にも関わらず、足りないものは何か誰も気づかない、必要とされているものは、何か
それこそが、あなたの店の「コンセプト」になり得るのだと、私は思います。

まとめです。

まとめ
まとめ

コンセプトを考える順番は、
・街の特徴を見つけ
・どんな人が、何を目的としてるのかを見つけ
・さらに、皆が見落とし、街に足りてないものは何かを見つけること
です。

その街に足りてない何かこそ、あなたがその街で「やらなければならないこと」なのです。

飲食店の創業コンセプトは、いわばお店の「顔」であり、会社で言うなら「定款」です。
一度決めたら、ゆるがせにはできない礎です。
だからこそ、「ニーズ」を読む能力をフルに発揮し、「必要なものを売る」という「相手本位の発想」が、あえて必要なのです。

それでは次回は、見つけた「自分が成すべきコンセプト」を元に、それをどう自店舗で発揮していくのか、コンセプトの練り方について見ていきましょう。

それでは、本日もありがとうございました。

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