日本株と米国株

Sebastian WagnerによるPixabayからの画像 4.投資

おはようございます。
前回からの続きとなります。一連のシリーズ「個別株投資」について語る内容となっております。
今回は、「個別株投資を行う場合、どの国の株に投資すべきか?」という点について、思うところを語ってまいります。

日本株か、米国株か

まずは、結論から申し上げます。
ボラティリティが低めで、堅実投資。かつ、企業分析や経済自体の動向について知識を深化させたい方は、日本株が。
ある程度のボラティリティを容認出来、変化を望み、かつ、経済動向から俊敏に反応出来る方は、米国株がお勧めです。
以下は、上記理由について語っていきます。なお、おおよそ内容に予想がつく方は、おそらく投資中級者以上の方だと思いますので、以下の内容で知識が増えることはないと思われます。

日本株の利点

全世界の株式取引額において、日本株というのは世界の7%を占める、と言われています。
高い、と思われる方も、予想外に低い、と思われる方もいると思われます。
が、正直に申し上げまして、世界の投資家において、日本株の重要性……というか、投資先としての魅力は、年々減少していっている、という印象です。
理由はいろいろ(少子化による低成長もしくは衰退、人口減少、財務体質の弱さ)あるでしょうが、一番の理由は、日本株全体に漂う「配当性向の低さ」にあります。
こちらの記事に詳しいのですが、日本の配当性向は配当金そのものと季節ごとの優待品がほぼ全てであるのに対し、アメリカはプラス「自社株買い」が多く、配当金自体のない「無配当」の企業も多々あれど、自社株買いによる株価上昇に積極的な企業が多くある、とのことでした。比率にして、日本企業がだいたい純利益の30%前後を配当にあてているのに対し、アメリカ企業は実に50%にもなる、という違いが。
この傾向はROE(自己資本利益率)にも直結し、アメリカにはROE12%以上の企業がごろごろあるのに対し、日本は5%でかなり高い、というレベル。
それでも、個別株を日本株で勝負する利点は、「情報が多い点」そして、「それを早く理解し、かみ砕き、反応出来る点」であります。

「情報が多い」というのは、単なる株式の情報量について言っているのではなく(それを言うならアメリカの方が桁違いに多く、情報も正確)、我々日本人がかみ砕ける情報量、という意味です。そして、それを理解出来、かつ、投資に役立たせることができる。これは実は、大きなアドバンテージであります。

アメリカ株の情報は、当然翻訳されて日本にもいくらでも入ってきますが、得てして翻訳ということを一回挟む時点で、情報の鮮度はがたっと落ちてしまいます。ましてや、米国発の金融工学や法律、投資背景に基づいた向こうの投資家たちの思惑を読む、となると、翻訳された些少な情報では正確さに難が出ます。
日本人なら、日本の経済状況とそれを取り巻く世界情勢などはニュースで把握しているでしょうし、仲がいい(悪い)国の動向も、日本人投資家目線で株への影響を判断出来るはずです。
そして、日本企業はROEが低い、と申しましたが、それは米国と比較しての話であり、全企業が低いわけではありません。むしろ、全体が低い中でROEが高い企業は目立ちますので、そこに投資が集まる(早く株価が上がる)という予想が立つわけで、むしろ米国株より「読みやすい」とすら言えます。

また、アメリカは「商売の国」というだけあって、競争が激しく、昨日までの優良企業が地に落ちる、という例は、枚挙に遑がございません。(※試しに「GE 急落」で検索してみられることをお勧めします)このへんはむしろ、日本の島国的な閉鎖体質がいい方に作用している、というべきか、優良企業の株価が何の理由もなく突如紙くずとなる、ということはあまり起こらず、起こるとしてもニュースで充分拾える範囲、予想出来る範囲の下落に収まる、という点でも、投資家にとっては「理解しやすい」投資先であると言えるのではないでしょうか。

というわけで、結論として、
「 ボラティリティが低めで、堅実投資。かつ、企業分析や経済自体の動向について知識を深化させたい方は、日本株への投資が望ましい」
のではないか、ということになるかと思われます。

米国株の利点

先ほどの「日本株の利点」の正反対、と申し上げれば終わる話ではあります。が、もう少し説明させていただきます。
米国株の利点は、とにかく配当性向の高さです。年四回の配当が普通。純利益の50%前後を配当、もしくは自社株買いにあてている。ROEが12%以上の企業がごろごろある。加えて国民の消費大好きという体質。金融工学が発達しており、次々魅力ある金融商品が発売され、かつ、大きく取引されているために市場が活発である。
全世界の株式取引のうち、米国株が占める割合はなんと、56%。発展途上国がいくらこの先経済発展による株価上昇という恩恵を授かろうと、それは不安定な経済体質、不安定な為替、インフレーション、狭い市場というデメリットにかき消されていくところでしょう。とにかく、世界の金融市場の「ルールをつくっている」ということがでかい。あまりにもアドバンテージが大きい。
ともかく、今この現在において、世界の経済がアメリカを中心に回っていることは誰の目にも明らかで、アメリカの株式市場を無視して株式を語ることはむしろ、ナンセンスでありましょう。

ただ、いかんせんボラティリティが高すぎる。アメリカ株に関する有名どころの本を、どれか一冊でも読んだ方なら、アメリカ内で頻繁に発生する「バブル」と、それに引っかかる投資家たちのあまりにも短絡的な様子に笑いがこぼれたこと、一度や二度ではないはずです。
ですが逆に言えば、それほど多くの失敗にもかかわらず、アメリカの株式市場は未だ「大盛況」なのです。日本はたった一度のバブルで「懲りて」しまったというのに。アメリカのこの「懲りない」体質は、たとえ下落してもどこかの市場は必ず不死鳥のように伸びてくるだろう、という「予感」を感じさせます。

なお、情報が英語で発信されていることから、英語が読めない日本人は翻訳に頼るしかなく、重大なニュースを見落とす可能性は大であり、ここぞという時に大きく張れなかったり、逆に逃げ遅れて大損を被る可能性は、多分にあります。また、特別口座で源泉徴収あり、という証券口座を選んでいる方たちは、アメリカを含む外国株は、配当課税でいわゆる「二重課税」をされてしまう点は要注意、デメリットであります。(※確定申告をあえて行い、総合課税または申告分離課税を選択することで、外国税額控除が適用され、二重課税は解消されます)

というわけで、結論として、
「ある程度のボラティリティを容認出来、変化を望み、かつ、経済動向から俊敏に反応出来る方は、米国株への投資が望ましい」
のではないか、ということになると思われます。

それでは、本日もありがとうございました。

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