ROEを指標とする場合の注意点

Sebastian WagnerによるPixabayからの画像 4.投資

おはようございます。
ROE指標のデメリットについては、「負債の概念が抜けている」と前々回のブログで指摘したのみでおわってしまいましたが、今回はさらに突っ込んで、ROEを指標とする場合のウィークポイント、デメリットについてもう少しお伝えしていこうと思います。

ROEが8%を超えていても……

「花王」へは、実は二年ほど前まで、個別株投資をしておりました。
起業とそれに付随する資金が必要となったために、下落基調の頃(おおよそ6800円前後)泣く泣く売ってしまいましたが、今ではさらに下げております。
22年1月11日現在、花王の株価は5,872円。最高益を出した2018年につけた9,387円からじりじりと下げ基調に入り、-37%という結果となりました。
これは、蓋を開ければ中国でのEC規制により、中国市場を大きく失ったことによる減益が尾を引いているようです。
ですが、花王のROEは決して悪いわけではありません。2020年の花王の自己資本はおよそ9,230億(自己資本比率56%)。ROEは14.2%、営業利益率は12.7%です。
加えて、わずかですが今期も増配が決定し、31期連続増配となっており、増配記録日本一であります。
2018年のROEは実に18.87%だったことを見れば、確かに現在の14.2%は見劣りします。

高PER企業≓成長企業はボラティリティが大きい

これから何が分かるかというと。
個別株の基本として、高配当株というのは成長を終えた安定企業、低配当・無配当株は成長企業、という常識があります。
成長企業は、利益を配当に回すよりは、設備投資や人材確保のために敢然と出資しなければならない。
安定企業は、市場を広げ尽くしたことで出資先がなくなり、よって高配当や自社株買いによる株価上昇という恩恵で株主に応えようとする。
しかし花王は、高配当を出す安定企業と思いきや、PERは26前後(2020年時)と、成長企業並になっております。つまりは、高配当株ということで「買われ過ぎていた」株だった、ということです。
概して高PER企業は、減益などで「成長速度が落ちた」程度でがくっと株価が下落します。
ROEという数字が、「株価が常に切り上がっていく」魔法の指標というわけではない、という、これは証明でもあります。
ROEで切り上がるのはあくまでも株価の「底値」であって、底がどこになるかという「バリュエーション」はROEからは試算できない、ということであります。

実は花王は、中国だけでなく、欧州市場、アメリカ市場でも大きく売上を下げております。コロナ禍による消毒系の商品は伸びたものの、全体的な消費低迷、とくに化粧品、ヒューマンヘルスケア事業が大きく下げたのが響いているようです。
ただ、このような逆風のなか、「減益で抑えている」→「赤字を出していない」のは押さえておくべきポイントであると思います。自己資本は少しずつでも積み上がっていっているので、世界での消費が元に戻ればROEも上向き、株価も回復するのではないでしょうか。……ただ、これはあくまでも予想のお話ですが。

まとめ

今回は花王一社だけのご紹介で終わりましたが、オミクロンが日本でも広がりつつあることで再度の蔓延防止等の措置をとる自治体も出てきているようです。
消費の低迷は避けることが出来ない事態となりそうですし、株価にも影響は及ぶことでしょう。
ですが、このような逆風の中、企業がどのような経営方針を打ち出し、生き残っていくかを観察することは、将来の個別株投資への絶対の糧となることでしょう。

それでは、本日もありがとうございました。

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