いよいよ、創業計画書を記入していきます。
創業計画書を書く上での下準備については、前回のブログを参照していただけるとよいでしょう。
また、これから記入する創業計画書の書き方については、たくさんの細かなヒントを、以下の書籍から参考として紹介させていただきました。

では、1から順に見ていきます。

自分が飲食店を経営していく上で、どうしても譲れない核の部分に、○をつけたことと思います。
もちろんそれをそのまま書いてもいいのですが、まずは融資を受けるためには、相手に自分のことを知ってもらわなければならない、という理屈の方が先に来ます。
なので、自分がその考えに至った経緯を含めて書くことが求められます。
あくまで例ですが、私ならこのように書きます。(以後、私なりの記入例を示しますが、これが融資担当者の目からうろこが落ちるほどのすごい内容になっている……わけでは、絶対にありません。とにかく、自己紹介を兼ねて、自分の言葉で、自分の熱意を掘り下げて、真摯に正直に記入することです。これは以下の全部の欄においても、すべて同じです)

これまで○○ホテル、▲×割烹の厨房で調理師として
勤務していた実経験を生かして、鮮度は重視しつつ
安価でありながらきちんと仕事をした料理を提供したい、
と考えたため。
また、コロナ禍を経て、目星をつけていた良物件が
空き店舗となり、知り合いの不動産屋を通して安価に
借りられるめどがついたため。
実際書いてみると、4行という欄はあまりに狭いです。さわりを書いてしまったら埋まってしまいます。
なので、
「自分には下地がある」こと。
「儲かる手応え・要因」を見つけたこと。
この二つをアピールすることに的を絞ってみました。
では、2にうつります。

チェック項目は、上記とします。飲食業に必須の取得資格については、他に
「食品衛生責任者」
「防火管理者」
があります。担当者に尋ねられた時には、これらの有資格者が社員内にいる、あるいはこれから取るつもりであることを伝えましょう。
(理想は、既に取得済みであることですが、なにぶんにも筆者である私自身が取っていないので、強く言えないところではあります……)
略歴については、以下のような書き方となるかと思います。

H27年4月 (株)○○観光 ホテル▲▲に入社。
調理部に所属。
H30年8月 ○○観光が展開する割烹料理店、
割烹▲▲に料理長として転属。
(給与28~34万)
R3年3月 ○○観光の事業統廃合により、
割烹▲▲が閉店。同時に
○○観光を退職。(退職金140万)
調理師免許があり、質の高い食事を提供すべき場所で働いていたことはプラス(同業・関連事業での起業は成功しやすい傾向があるとして、プラスに働く)ですが、経営経験がないのはマイナスに働くかも知れません。しかしこれくらいのマイナスは、あなた自身の熱意や用意してきた数字の細かさ、あるいは相手を魅了するような光る個性などで充分挽回可能です。
次。3です。

「……え?」と思った方、いるかも知れません。あれだけ長ったらしい、めんどくさい手計算をさせてシミュレーションさせといて、実質書くのはこれだけ? と。
いえいえ。逆なんです。あれだけ密にシミュレーションしたからこそ、この欄でむしろ「スペースが狭すぎて書き切れない!」という発想になれるんです。
取扱商品・サービスの内容については、ラーメン屋などの昼営業メインならばそれを書き、居酒屋やお酒を出す店ならば夜営業メインで書いていきます。フードとドリンクは別に書いた方がわかりやすいかもしれません。シミュレーションで積み重ねた客数×客単価で売上を出し、昼営業分と夜営業分をそれぞれ100%換算で比率を出せば、あとはそれを書くだけです。
なお、ビジネス街や駅近店であれば、平日と土日の売上が大きく乖離しているはずなので、下記のように全部まるめて平均を出す、という書き方は一考の余地があるかも知れません。
セールスポイントには、他に書くことがなければ、限界利益について書いてもいいかも知れません。それによって月にどれだけの利益が積み上がるかだけを書いても、説得力は持っているでしょう。
通常は、自分が出す料理の自慢……といったら変ですが、原料にこだわっているとか、仕入れ先が安いとか、そういう内容を皆さんは書いておられるようです。
販売ターゲット・販売戦略には、自店舗のメインとなる客層がどの辺になるのか、そしてそこに訴求できる方法としてどのようなものがあるのかを記入します。そして、今の状態ですと、あなたは他店舗と比べて自店舗の商品が
「どのような価格帯で」
「限界利益率の高い『稼げる』メニューが何で」
「比べてみて、どこらへんに強みが発生しているか」
が分かっているはずですので、それを書き添えます。
競合・市場など企業を取り巻く状況には、上記3で書き切れなかった「自店舗の強み」を存分に書き記しましょう。本来は、今の経済状態とか、それによってあなたのお店がどう生き残っていくかとか、そんな抽象的なことを書く欄のようですが、そんな遠回りなことを書いてもせっかくのスペースがもったいないので、多少強引にでも牽強付会に、自分の言いたいことだけを書いた、と、そういう内容になっています。

①昼営業 ランチセット(日替わり4種・ご飯生卵おかわり自由、デザート付)1000円 客単価同じ(売上シェア20%)(※土・日は昼営業なし。水曜定休)
②夜営業 フード500~1600円 定番メニューと日替の季節の料理
ドリンク500~1500円 日本各地の地ビール、地酒を取りそろえる
客単価合わせて3400円前後(売上シェア80%)(足りなければ③の欄に書く)

ランチは限界利益率28%なので、お店の認知のためと割り切る。夜のフードは、
定番メニューとして脂ののった最高の美味「とろさば」を使った料理三種を用意。限界利益率40%近くで価格高めに設定したが、日本酒の特に冷酒との相性が抜群で、地酒の売り上げにも寄与すると見込む。他に、利益率の高い地ビール。これに合うらっきょう入りジャーマンポテトや、生ハムを使ったピザなど西洋料理も提供し、ビールの売上増をも狙う。

ターゲットは30~50代男性メイン。求人が集まらないことを見越して、少ないオペレーションで店を回せるよう、オープンキッチンとし、スタッフの動線にこだわった。また土地・賃貸価格を抑え、固定費を削ることで、競合他店と同価格帯にもかかわらずキャッシュがプール出来る仕組み作りが出来た。とにかくメインの「とろさば」の味で固定客をつかみたい。限界利益率が高いので、ここが売れると一気に利益が上がる。

薄利多売を目指さずに、どれだけお客様について来てもらえるかを考えた。ただ、安く上げたいお客様のために、低価格帯の比較的限界利益率の低い商品も出来るだけ味は落とさずラインナップに載せ、「高いだけの店」と認知されるのは避けた。競合店は多いが、それはこの商圏の期待値が高い証拠でもある。同価格帯を目指し、それでも客数が同じなら、確実にどの他店よりも利益が上げられるようシュミレートを繰り返した。
書いてて、楽しいですよね。このへん。
自分が苦心して計算した部分って、多分なにより相手に喋りたいはずです。
このへんは特に融資担当者からの質問がかかるところで、それに対して嬉々として答えるあなたを見た担当者は、きっとあなたを見る目が変わりつつあると思います。
では、4です。

「販売先」は、あなたの店のお客様のことです。通常は一般個人でしょう。
「仕入先」は、文字通り仕入れ先です。懇意の酒屋、鮮魚、肉、野菜の取引先と、支払い〆日等について記載します。
値引きしてくれる、いつでも新鮮なものを扱ってる卸業者等、強みを持っているなら、「別紙」として提出するか、担当者との会話のなかでアピールする方法もあります。
「外注先」は、飲食店だとあまりないでしょう。なければ空欄でかまいません。
「人件費の支払」は、雇った人たちへの賃金支払い形態を書きます。何日〆のいつ支払いなのかも忘れず書きましょう。
記入は、こんなふうになるかと思います。

一般個人/シェア100%/即金(支払)

田中酒店/シェア40%/掛取引100%/末日〆の翌月末払い
(株)丸章(鮮魚)/シェア30%/掛取引100%/末日〆の翌月末払い
東国原商会(株)(肉・野菜その他)/シェア30%/掛取引100%/末日〆の翌月末払い

末日〆翌月末払い/(ボーナスなし)
では、次。5です。

法人にするならば、役員の人数をまず書き、個人店のままなら空欄です。従業員数は自分を含めた人数を書き、(うち家族従業員)と(うちパート従業員)は、自分を除いた残りの人員をそれぞれ書きます。

従業員数4人 (うち家族従業員)1人 (うちパート従業員)2人
6です。あと少しです。

現状のあなたの借入の状況を書きます。借金がいくらあるか、ということです。身も蓋もない言い方をすれば。
大事なことは、「正直に、つつみ隠さず」書くことです。確かに、他の金融機関から事業の借入を行っている場合などは、政策金融公庫と合わせて借入金が高くなるわけで、その分審査は不利に働くことは自明です。
が、だからといってそれを隠して「負債ナシでござい」とうそぶいたところで、担当者が
「個人信用情報」(※加盟金融機関が顧客の利用、支払い状況を情報として蓄積、共有するシステム)
を確認すればすぐに分かることですし、ばれたら「嘘をついた」ということの方が何倍にも大きい「不信感」という失点に繋がります。

三菱UFJ銀行○×支店 住宅(ローン)/借入残高1500万円 年間返済額126万円
7です。ここで再び、大項目に当たります。

前回のシミュレーションが、ここでも再び生きてきます。お店がスタートする直前までの支払(必要資金)と、調達金(資金)の比較表となります。
修 繕 費:販 売 5
容 器 代:販 売 12
仕 入 運 賃:販 売 7
雑 費:販 売 12
水道光熱費:販 売 15
社 員 給 与:販 売 50
旅費交通費:一般管 3
広告宣伝費:一般管 1
社 長 報 酬:一般管 30
地代・家賃:一般管 14
通 信 費:一般管 2
接待交際費:一般管 3
保 険 料:一般管 10
リ ー ス 費:一般管 10
(単位: (万円))
この表を思い出してください。これはお店のランニングコスト表であり、創業した後の月々の変動費・固定費を表します。
これを、創業直前のコスト表に書き換えていきます。
修繕費:まだ発生してないはずですので除きます。
社長報酬:いちおう当期純利益が社長報酬、という考え方をするので、これも除きます。
社員給与や水道光熱費:まだ発生してないはずなので除きます。
旅費交通費:同様です。
通信費・接待交際費:同様です。
逆に、追加する項目です。
賃料の初月2ヶ月分払い。
保証金(いわゆる敷金。住宅の敷金と違うところは、おおよそ賃料の6~12ヶ月分を納めること。時には1千万近くかかることもありますす)
食器代
壁紙等デザイン費
厨房機器備品類
(以上は、全て一般管理費)
などです。
さらに、販売費及び一般管理費とは別にしていた「仕入原価」も追加します。
すると、こうなります。
仕 入 原 価:仕 入 90
容 器 代:販 売 12
仕 入 運 賃:販 売 7
雑 費:販 売 12
デザイン費:一般管 60
広告宣伝費:一般管 1
厨房機器類:一般管 80
食 器 代:一般管 30
地代・家賃:一般管 28(初月のみ)
保 証 金:一般管 168
保 険 料:一般管 10
リ ー ス 費:一般管 10
(単位: (万円))
これらを、操業計画書の欄に従って、設備資金と運転資金に分けます。
分け方は、既に変動費を販売費、固定費を一般管理費としているので簡単です。
仕入原価と販売費を運転資金、一般管理費を設備資金と考えます。
すると、こうなります。
↑ 仕 入 原 価:仕 入 90
運 容 器 代:販 売 12
転 仕 入 運 賃:販 売 7
資 雑 費:販 売 12
金
______________
設 デザイン費:一般管 60
備 広告宣伝費:一般管 1
資 厨房機器類:一般管 80
金 食 器 代:一般管 30
↓ 地代・家賃:一般管 28(初月のみ)
保 証 金:一般管 168
保 険 料:一般管 10
リ ー ス 費:一般管 10
(単位: (万円))
見積もり先の会社を追記し、それぞれの項目を書いていきます。
※なお、実際に融資の相談に出向く際は、詳細なそれぞれの見積書をひとまとめにして用意しておくと、払い込み先の証明になります。
次に、「調達の方法」欄ですが、重要なのは「自己資金」欄です。
融資の際に自己資金があるとないとでは、その人に対する信用が違ってくる、というのは、長らく融資担当者の間で言われてきたことでもあります。
ですが、現在はそのハードルも大分緩和されており、かつて自己資金は「3分の1は用意しなさい」、と言われていたものですが、今では10分の1程度用意出来てればよい、と見做されるようになりました。
ただし、だから自己資金は少なくていい、という理由に直結するわけではありません。開業資金のために毎月コツコツと貯めたお金を見せること(お金を見せる、と言っても、ゲンナマ、つまりタンス預金を出しても、「見せ金」では? と逆に疑われます。早いうちに銀行に振り込んでおき、それを通帳に記帳し見せる方がよいです)は、その人自身の信用にやはり直結します。これは、立場を逆にして考えてみるとよく分かることと思います。
そしていよいよ、政策金融公庫から具体的にいくら借りたいのか、を記入します。
だいたいは、5年前後での返済を迫られます。10年が認められることは稀と考えてください。
金利はだいたい2~3%で、無担保無保証で借りられます。
他の金融機関からの借入(ただし、事業借入)がある場合は、ここにも記載します。
吹き出しで記入すると見にくいので、エクセルに直接打ったデータを貼り付けます。

この項目は、出店場所によってそれこそ下は数百万から、上は億単位まで、本当に大きく変わります。
注意点としては、必要資金と調達資金の合計額を必ず同じにすることです。
さあ。あと少し。8です。

ここがまさに、前回シミュレーションした内容そのままになるかと思います。出した数字を元に、思うさま書き切ってください。
記入例は、以下の通りです。

※利益が前回のシミュレートより高く出ているのは、家賃を初月賃料(14万→2ヶ月分 28万)として出している代わりに、社長給与(30万)を引いていないからです。
(社長給与を入れない場合、創業当初の利益試算は66万。しかし家賃が14万余計にかかり、支払利息をさらに計算に入れたので、66 - 14 ー 1= 51(万)となる)
9については、自由にお書きください。
ようやく、これで終了!
お疲れ様でした! 本日もありがとうございました。