優れたメニューを生み出したお店

業態研究 2.業態研究

おはようございます。
今回から数回に分けて、日本で「人気店」と言われるお店のうち、私が「これは!」と思ったお店の自慢の一品・メニューについて語ってまいります。
飲食店経営を考える上で、「何をお出しするのか」という「メニュー」の問題は、お店のコンセプトと合わせて、オーナーがまず考えなければならない必須の課題であります。

ここで挙げますメニューを「マネしてそのままお出しする」というのではなく、何らかのヒントを得て、自店メニューを発案するきっかけとしていただければ、と思っております。

では最初の一品について、ご紹介いたします。
福岡県博多区にお店を構えておられる、「びっくり亭」の「焼肉」です。

ほぼこれ一品のみが提供されており、たくあん付のライスと一緒に注文すると、味噌汁がサービスされます。
具は豚肉のサガリと呼ばれる部位と、キャベツのざく切りを炒めたもの。それと大量のにんにくのすりおろし。あっさりとした塩ベースの味付けです。
鉄板で提供され、料理の下には白濁したおいしい油だまりがあり、食べるときは木の棒を下に敷き、傾けてこの油だまりが鉄板の隅に寄せられたところへ、備え付けの「辛味噌」を溶き、これに肉・キャベツをつけながら食べる、というルールがあります。

実際に食べてみると、十分な塩味・にんにくの香りに味噌の香りがさらに合わさって、いやおうなく白飯をかきこみたくなる味わいです。

自作でも何度か作ってみましたけれども、これ、最初から辛味噌を入れて炒めてしまうと、味噌の香りが飛んでしまい、普通の肉野菜炒めになってしまいます。
味噌の後入れをする、というのはだから、理に適っています。
また、「後で辛い味噌を入れる」ことを考えて、本体の肉・キャベツの味付けはそれほど凝ったことをしておりません。おそらくですが、油(ことによると、肉から湧出する脂のみ?)、にんにく、塩、味の素。この程度かと思います。
炒めて素材の香りを立たせ、食欲を呼び寄せるものの、このいじりすぎてないところがむしろ好感です。ただただ、ごはんやビールに合わせることに一切の心血を注ぎ奉仕した結果、このような形になったのだとありありと分かります。

分かりやすくシンプルに「うまい」を突き詰め、最低限のぎりぎりのところで見切った具材と味付け。
キャベツと豚肉という、一年を通して味落ちせず安定供給される素材を使う。
コンロで大量調理しても味ブレがおきにくく、むしろおいしさを増す。
この一品は、料理屋の料理として考えた場合、優れた要素が多くつまっている気がします。

一人前は、800円。
ご飯小が150円(味噌汁サービス)なので、千円でおつりが来ます。このボリュームならばコスパも高いと言えるでしょう。

今回のまとめ
今回のまとめ

個人店のメニューとして考えた場合、

・調理過程が少ないこと

・揃える具材は安定供給されていて値段が安いこと

・毎日食べても飽きない、凝りすぎない味付けなこと

・なにか強い印象が残る料理であること(味付け、香り)

この四つは、常に意識するべきでしょう!

それでは、本日もありがとうございました。

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